先に結論からお伝えすると、GEEKOMが利用者の情報を盗むため、製品へ意図的にバックドアを仕込んでいると確認できる証拠はありません。
ただし、「GEEKOMにはセキュリティ上の問題が一度もない」とも言えなくなりました。
2026年8月、GEEKOM公式サイトの旧ページで配布されていたLANドライバー内の実行ファイルが、複数のセキュリティサービスからマルウェアとして検出されたためです。
GEEKOMも対象ファイルが旧ページに残っていたことを認め、ファイルを削除しました。
今回確認されたのは、PCに最初から入っていたWindowsではなく、公式サイトから別途ダウンロードするドライバーの問題です。そのため、GEEKOMのPCを所有しているだけで感染しているという話ではありません。
この記事では、次の点を分けて整理します。
- GEEKOMに意図的なバックドアが確認されたのか
- 2026年に発覚した公式ドライバーの問題
- 影響する可能性がある機種と利用者
- 対象ファイルをダウンロード・実行した場合の対処法
- 2025年に報告されたGT1 Megaの事例との違い
私はGEEKOM製品を購入・使用していません。MINISFORUMをきっかけにミニPCを知り、ほかのメーカーを調べるなかでGEEKOMを見つけました。
この記事は実機レビューではなく、2026年8月19日時点で確認できる公式発表や検査結果を整理した調査記事です。
GEEKOMに意図的なバックドアがある証拠は確認できない
「バックドア」とは、本来の認証手順を通らず、外部から機器やシステムへアクセスできるようにする仕組みです。
マルウェアのなかにも、感染したPCを外部から操作できるようにするバックドア型のものがあります。
ただし、次の2つは同じ意味ではありません。
- ドライバーファイルからバックドア型のマルウェアが検出された
- GEEKOMが利用者を監視する目的で、意図的にバックドアを仕込んだ
2026年に問題となったファイルは、複数の検査でマルウェアとして判定されています。一方、GEEKOMが利用者の情報を収集するため、意図的にファイルを混入させたと判断できる証拠は確認できませんでした。
したがって、現時点での答えは次のようになります。
GEEKOMが意図的にバックドアを仕込んだ証拠は確認できない。ただし、旧公式ページで配布されていたドライバーから、不審なファイルが検出された事実はある。
2026年8月に公式ドライバーの問題が発覚した
問題の発端は、GEEKOM製ミニPCのSSDを交換した利用者が、公式サイトからドライバーをダウンロードしたことでした。
LANドライバー内にあった次の実行ファイルが、Windows Defenderに検出されたと報告されています。
Install_PCIE_Win11_11.10.0720.2022_11222022.exe
その後、海外メディアのVideoCardzがGEEKOM公式サイトから同じドライバーパッケージをダウンロードし、VirusTotal、FileScan.IO、MetaDefenderなどで確認しました。
一つのウイルス対策ソフトだけが反応したのではなく、複数の検査サービスで不審なファイルとして検出されています。
対象として報告された機種
問題のLANドライバーパッケージは、次の6機種向けとして配布されていました。
| 対象として報告された機種 |
|---|
| GEEKOM A7 |
| GEEKOM A8 |
| GEEKOM AE7 |
| GEEKOM AE8 |
| GEEKOM AX7 Pro |
| GEEKOM AX8 Pro |
似た名前の製品が多いため、「A7 Max」や「A8 Max」など、名称の一部が異なる製品まで自動的に対象だと判断しないようにしてください。
重要なのは、所有している機種名だけでなく、旧公式ページから該当するLANドライバーをダウンロード・実行したかどうかです。
GEEKOMは旧ページのファイルを削除したと発表
GEEKOMは2026年8月18日に公式声明を出しました。
公式の説明は次のとおりです。
- 問題のファイルは、削除できていなかった旧ページに残っていた
- 現在のドライバーページでは同様の異常を確認していない
- GEEKOMのハードウェアには影響しない
- PCにプリインストールされたOSには影響しない
- 対象となった旧ファイルは削除した
- 今後はファイルの管理・確認体制を強化する
GEEKOMの説明どおりであれば、今回の問題は旧ページからダウンロードできたLANドライバーに限定されます。
ただし、「現在のファイルに異常はない」という部分はGEEKOMによる社内調査の結果です。すべての現行ドライバーが第三者によって検証されたわけではありません。
また、通常のサポートメニューから外れていたとはいえ、検索結果からアクセスできる旧ページに不審なファイルが残っていたことは、ファイル管理上の問題として気になります。
公式が問題を認めて削除した点は確認できますが、それだけで管理体制への不安がすべて解消されたとは言い切れません。
対象ドライバーをダウンロードした場合の対処法
GEEKOM製品を所有しているだけで、今回の問題の影響を受けるわけではありません。
該当するLANドライバーをダウンロード・実行したかによって、必要な対応が変わります。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 対象機種を持っているが、ドライバーを手動でダウンロードしていない | 今回の問題だけを理由に、感染しているとは判断できません。Windows Updateと通常のセキュリティスキャンを行います |
| ファイルをダウンロードしたが実行していない | ファイルを実行せずに削除し、Windowsセキュリティでフルスキャンを行います |
| 対象ファイルを実行した可能性がある | フルスキャンに加え、Microsoft Defenderのオフラインスキャンを実行し、ネットワークドライバーを入れ直します |
| 不審な動作やマルウェアが検出された | Windowsのクリーンインストールを含めた対応を検討します |
1.対象ファイルを削除する
保存したファイルが残っている場合は、実行せずに削除します。
GEEKOMも、対象となったインストーラーを実行せず、保存済みのファイルを削除するよう案内しています。
2.Microsoft Defenderでスキャンする
まずはWindowsセキュリティからフルスキャンを行います。
対象ファイルを実行した可能性がある場合は、Windowsが起動していない状態で検査できる「Microsoft Defenderオフライン」も利用できます。
Microsoftによると、オフラインスキャンではWindowsを通常起動せずに検査するため、動作中のWindowsに隠れるタイプのマルウェアを検出しやすくなります。
3.ネットワークドライバーを入れ直す
GEEKOMは、次のいずれかからネットワークドライバーを再インストールするよう案内しています。
- Windows Update
- Realtek公式サイト
- GEEKOM公式サイトの更新済みパッケージ
まずはWindows Updateで、推奨ドライバーやオプションのドライバー更新を確認する方法が分かりやすいと思います。
GEEKOM公式サイトを利用する場合は、Google検索に残っている古いページではなく、現在の公式サイト上部にある「SUPPORT」からダウンロードセンターへ移動します。
4.クリーンインストールは全員必須ではない
以前のこの記事では、GEEKOM製品を安全に使うためにクリーンインストールが必須だと記載していました。
しかし、今回の公式発表を確認すると、所有者全員にクリーンインストールを求めているわけではありません。
GEEKOMは、対象ファイルを保存・実行した場合の基本対応として、ファイルの削除、フルスキャン、ネットワークドライバーの再インストールを案内しています。
Windowsのクリーンインストールは、さらに安心したい場合の選択肢です。
対象ドライバーを実行した可能性があり、不安が残る場合や、スキャンで問題が見つかった場合に検討する対応だと思います。
クリーンインストールを行う場合は、GEEKOMの旧ファイルではなく、Microsoft公式のインストールメディアを使用します。
Microsoft公式のWindows 11ダウンロードページ
2025年にもGT1 Megaから不審なファイルが見つかったという報告がある
2026年の公式ドライバー問題とは別に、2025年3月にはGEEKOM GT1 Megaの購入者から、不審なファイルが見つかったという報告がありました。
投稿者によると、Amazonで購入したGT1 Megaの初期状態から、次のファイルが見つかったとされています。
C:\llpy.exe
投稿者がVirusTotalへ提出したところ、複数のセキュリティソフトからトロイの木馬などとして検出されました。
一方、GEEKOMは投稿者に対し、誤検出であるという趣旨の回答をしています。
この件について、同じ状態のGT1 Megaが広く確認されたという情報や、工場出荷時に意図的に混入されたことを裏付ける情報は確認できませんでした。
したがって、この1件だけを根拠に「GEEKOMの製品は工場出荷時からマルウェアに感染している」と判断することはできません。
また、2024年にNeowinがGEEKOM A7を複数のセキュリティソフトで検査した際には、マルウェアは検出されなかったと報告されています。
ただし、A7の1台で検出されなかったことも、GEEKOMの全機種・全ファイルが安全である証明にはなりません。
個別の報告と個別の検査結果は、それぞれ確認された範囲に限定して判断する必要があります。
GEEKOMの安全性をどう判断するか
確認できた事実を整理すると、次のようになります。
| 確認できたこと | 確認できないこと |
|---|---|
| 旧公式ページのLANドライバーから不審なファイルが検出された | GEEKOMが意図的にバックドアを仕込んだ証拠 |
| 複数のセキュリティサービスが同じファイルを検出した | GEEKOM製品すべてが感染しているという事実 |
| GEEKOMが対象ファイルを削除し、公式声明を出した | 現行ドライバーすべてを第三者が検証した結果 |
| 2025年にGT1 Megaの個別報告があった | 工場出荷時の広範囲な混入を示す情報 |
私はパソコンやセキュリティについて、マルウェアの解析やトラブル発生後の復旧まで自力でできるほど詳しいわけではありません。
今回の問題を知り、価格や性能に魅力があっても、今の時点でGEEKOMを積極的に買いたいとは思いませんでした。すでにデスクトップPCとノートPCを持っているため、あえて不安の残る製品を追加する必要もないと考えています。
ただし、今回の問題を受けて今後価格が下がるのであれば、パソコンに詳しい人にとっては選択肢になるかもしれません。
対象ファイルの確認、セキュリティスキャン、ドライバーの入れ直し、必要に応じたWindowsの再インストールまで自分で対応できる人なら、リスクと安さを比較して判断できます。
私のように、問題が起きたときの対応まで含めて購入を考える人にとっては、「安くて高性能」という理由だけで積極的に選ぶ製品ではない、というのが今回調べたあとの率直な感想です。
GEEKOMを購入するか迷っている方は、保証やサポートの公式情報を整理した次の記事も参考にしてください。

まとめ
GEEKOMが利用者を監視する目的で、製品へ意図的にバックドアを仕込んでいると確認できる証拠はありません。
ただし、2026年8月には、旧公式ページで配布されていた一部AMD機向けLANドライバーから、不審なファイルが検出されました。
GEEKOMも旧ファイルが残っていたことを認め、対象ファイルを削除しています。
今回の問題は、PCに最初から入っているWindowsではなく、別途ダウンロードするドライバーに関するものです。GEEKOM製品を所有しているだけで感染しているという話ではありません。
対象となったドライバーをダウンロード・実行した可能性がある場合は、次の順で対応します。
- 対象ファイルを実行せず削除する
- Microsoft Defenderでフルスキャンを行う
- 実行した可能性があればオフラインスキャンも行う
- ネットワークドライバーを信頼できる配布元から入れ直す
- 不安や検出結果に応じてWindowsのクリーンインストールを検討する
「バックドアが確定した」と過度に恐れる必要はありませんが、「公式サイトだから何も確認せず使ってよい」とも言い切れません。
確認された問題の範囲を理解し、自分の使用状況に合った対応を取ることが大切です。
