- 「G-PKB-002LN」と「G-PKB-002LNd」、型番が似ているけれど何が違うの?
- このキーボードは「軸交換(ホットスワップ)」ができるって本当?
- 最新のラピッドトリガー搭載キーボードと比べて、性能はどうなの?
Logicool Gの「PRO」シリーズは多くのプロゲーマーに愛用されていますが、型番が複雑で仕様を誤解しやすい製品でもあります。
特に「LNd」という型番については、Amazonなどで見かけるものの、通常版との違いが分かりにくいという声が多く聞かれます。
この記事では、購入前に知っておくべき正確な仕様と、2025年時点での評価を客観的に解説します。
この記事の要点
- LNとLNdの違い:ハードウェアは同じだが、保証期間が「LNは2年」「LNdは1年」と異なる。
- 軸交換は不可:ホットスワップ対応は「PRO X (G-PKB-002)」のみ。
- 丈夫:スチールプレート内蔵で安定感があるが、端子はMicro-USB。
- 競技シーンでの評価:信頼性は高いが、反応速度では最新磁気スイッチに劣る。
この記事の信頼性について
この記事では、特定の意見に偏ることなく、読者に正確な情報を提供することを最優先としています。
そのために、以下を含む複数の一次情報源や信頼性の高い情報を調査・分析した上で、客観的な視点でまとめています。
- Logitech G Pro X TKL Rapid – Review 2025 – PCMag UK
- G Pro and G Pro X keyboard differences? : r/LogitechG – Reddit
この記事でわかること
- G-PKB-002LNとLNdの正確な違いと選び方。
- 「軸交換」に関する重大な誤解と、正しいモデルの知識。
- ラピッドトリガー搭載機と比較した際のメリット・デメリット。
Logicool G PRO (G-PKB-002LN / LNd) 解説
Logicool G(ロジクールG)の「PRO Gaming Keyboard」は、eスポーツ向けに設計されたテンキーレスキーボードのスタンダードとして知られています。
しかし、そのバリエーションの多さがユーザーの混乱を招くことに。
まずは最も基本的な「型番」と「保証」の違いから解説します。
G-PKB-002LNとG-PKB-002LNdの違い
結論から言うと、ハードウェアとしての性能や中身は全く同じ。
しかし、購入するモデルによってメーカー保証期間が異なります。
- G-PKB-002LN:通常の販売店向けパッケージ(一般流通品)。
保証期間は2年間。 - G-PKB-002LNd:主にAmazonなどのオンラインショップ限定で流通しているパッケージ。
保証期間は1年間。
「LNd」の末尾の「d」は、一般的にオンライン流通(Distribution/Direct)や特定販路向けのSKUを示しており、多くの場合、価格が通常版より安く設定されている代わりに、保証期間が短縮されています。
Amazonの商品ページに「Amazon限定 壁紙ダウンロード付き」と記載されていることがありますが、これはLNd型番に付随する特典であり、型番の違いの本質は「保証期間と価格」にあります。
選び方のアドバイス
もし価格差が数百円程度であれば、保証が長い「LN」を選ぶのが安心です。
逆に、「1年で壊れることは稀だし、少しでも安く買いたい」という場合は「LNd」がお得な選択肢となります。
軸交換(ホットスワップ)はできません
本製品を検討する上で、最も注意が必要なポイントです。
インターネット上の一部のレビューや動画で「G PROキーボードはスイッチ交換ができる」と紹介されていることがありますが、それは上位モデルの話です。
- Logicool G PRO X (G-PKB-002):ホットスワップ対応(スイッチ交換可能)
- Logicool G PRO (G-PKB-002LN / LNd):ホットスワップ非対応(スイッチ交換不可)
G-PKB-002LN/LNdのキースイッチは基板にはんだ付けされており、付属の工具で引き抜くことはできません。
もしキースイッチの故障対応やカスタマイズ性を重視して「軸交換」を求めている場合は、製品名に「X」がついているモデル(G-PKB-002)を選ぶ必要があります。
GXスイッチの特徴と打鍵感
G-PKB-002LN/LNdには、Cherry MXスイッチと互換性のあるクロス(十字)ステムを持つ「GXスイッチ」が搭載されています。
以前のLogicool製品で採用されていた独自の「Romer-G」スイッチからは脱却し、一般的なメカニカルキーボードに近い打鍵感を実現しています。
主に流通している「GX Red(リニア)」は、クリック感がなく、滑らかに押し込めるのが特徴です。
- アクチュエーションポイント:1.9mm
- キーストローク:4.0mm
- 押下圧:50g
FPSタイトルにおいて、スムーズな移動操作と連打性能が求められるシーンに適しています。
独自のキーキャップサイズに注意
カスタマイズを楽しみたい方にとってのハードルが、キーキャップのサイズです。 一般的なキーボードのスペースバーは「6.25u」というサイズですが、本製品は「5.75u」という独自のサイズを採用しています。
このため、市販されている交換用キーキャップセットを購入しても、スペースバーだけサイズが合わず取り付けられないという事態が発生します。
キーキャップを全面的におしゃれなものに変えたい場合は、この互換性の低さを考慮する必要があります。
接続端子はMicro-USB
2025年現在において、ウィークポイントとして挙げられるのが接続端子です。
本製品はUSB Type-Cではなく、Micro-USBを採用しています。
付属のケーブルはコネクタ部分が三又の独自形状(トライデント構造)になっており、プレイ中のケーブル抜けを強力に防止します。
この信頼性は評価されていますが、汎用的なケーブルが使いにくい点は、デスク周りをType-Cで統一したいユーザーにとってはデメリットとなり得ます。

ライバル品・後継機との比較
発売から時間が経過し、ゲーミングキーボードの技術は大きく進化しました。
ここでは、これから購入を検討する人が比較すべきモデルとの違いを解説します。
vs Logicool G PRO X TKL RAPID
2024年以降、競技シーンのスタンダードとなったのが「ラピッドトリガー」機能です。
- G PRO (G-PKB-002LN):従来のメカニカルスイッチ。キーをある程度戻さないと再入力できない。
- PRO X TKL RAPID:磁気アナログスイッチ搭載。キーを0.1mmでも戻せば入力が切れ、即座に再入力が可能。
『VALORANT』や『Counter-Strike 2』のような、一瞬のストッピング(移動停止)精度が勝敗を分けるゲームにおいては、ラピッドトリガー搭載のPRO X TKL RAPIDの方が圧倒的に有利です。
価格差はありますが、本気で勝ちにいくならこちらが推奨されます。

vs Logicool G PRO X
前述の通り、「軸交換ができるかどうか」の違いです。
- G PRO (LN/LNd):軸交換不可。安価に入手できることが多い。
- G PRO X:軸交換可能。チャタリング(故障)した際にスイッチだけ交換して修理したり、WASDキーだけ違う軸に変えたりできる。
メンテナンス性を重視して長く使いたい場合は、G PRO Xを選ぶのが賢明です。
ただし、基本性能(反応速度など)に大きな差はありません。

vs SteelSeries Apex Pro TKL (2023)
ラピッドトリガーブームの火付け役であり、依然として強力なライバルです。
Apex Proはアクチュエーションポイント(反応する深さ)を0.1mm単位で調整可能です。
G-PKB-002LNは1.9mm固定であるため、反応速度のカスタマイズ性ではApex Proに軍配が上がります。
しかし、メカニカル特有の物理的なスイッチの感触(底打ち感)を好むユーザーからは、依然としてG PROシリーズが支持されるケースもあります。

予算と目的別・おすすめモデル
ここでは、状況に合わせて最適なモデルを提案します。
Logicool G PRO
おすすめな人
とにかく安く、信頼性の高いG PROブランドのキーボードが欲しい人。
Amazonのセール等で1万円前後で入手できるならコスパは最強クラスです。
注意点
保証は1年。
ラピッドトリガー非搭載。
Logicool G PRO X
おすすめな人
軸交換をして長く使い続けたい人。
青軸から赤軸へ変更したり、故障時に自分で修理したい人に最適。
注意点
本体価格に加え、交換用スイッチの費用も考慮する必要があります。
Logicool G PRO X TKL RAPID
おすすめな人
『VALORANT』などでランクを上げたい、デバイスで言い訳をしたくない本気のゲーマー。
注意点
価格が高い。
まとめ
これまでの解説を踏まえ、Logicool G PRO (G-PKB-002LN / LNd) についての疑問に回答します。
- LNとLNdの違いは何ですか?
-
ハードウェアは同じですが、保証期間がLNは2年、LNdは1年です。
LNdは主にAmazonなどで販売される廉価版パッケージで、壁紙などの特典が付くことがありますが、保証期間が短い点に注意してください。
- 軸の交換(ホットスワップ)はできますか?
-
できません。
ホットスワップに対応しているのは製品名に「X」がつく「G PRO X (G-PKB-002)」のみです。
本製品のスイッチは基板にはんだ付けされています。
- 最新のラピッドトリガー搭載キーボードと比べて、性能はどうなの?
-
ストッピング性能などは明確に劣ります。
最新の磁気キースイッチと比較すると、キーを離した瞬間の反応速度(ラピッドトリガー機能)で差が出ます。
しかし、反応速度そのもの(1ms)は十分高速であり、一般的なFPSプレイにおいて不利になることはありません。
コスパ重視なら依然として優秀です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
主な参考文献
- PCMag UK. “Logitech G Pro X TKL Rapid – Review 2025”. https://uk.pcmag.com/keyboards/156342/logitech-g-pro-x-tkl-rapid
- Reddit. “G Pro and G Pro X keyboard differences? : r/LogitechG”. https://www.reddit.com/r/LogitechG/comments/eu5edw/g_pro_and_g_pro_x_keyboard_differences/
- Printables. “Logitech Pro Gaming Keyboard Spacebar (5.75U) by Jacob Schlecht”. https://www.printables.com/model/688151-logitech-pro-gaming-keyboard-spacebar-575u
- Pangoly. “Compare SteelSeries Apex Pro TKL 2023 Edition vs Logitech G PRO X 60 GX Optical Tactile”. https://pangoly.com/en/compare/keyboard/steelseries-apex-pro-tkl-2023-edition-vs-logitech-g-pro-x-60-gx-optical-tactile
